こんにちは。Presales Noteを運営しているNT91と申します。
サーバインフラ業界でプリセールス&コンフィグレーターを始めて2025年で10年ほどになります。
ある程度高度な技術の習得もできておりますが、ウェブメディアの運営を始めるにあたってまずは初歩的な情報から発信していこうと思います。
駆け出しプリセールスの方や、Sierの方やエンドユーザーの方など、疑問点がありましたら是非コメントをお願いします。
早速プリセールスの視点で見る「サーバ構成要素」入門を始めていきたいと思います。
なぜ「構成要素」を体系的に理解する必要があるのか
「プリセールス」という職種において、単にスペックや価格を提示するだけでは不十分です。
お客様の課題や要件を正確に把握し、最適な構成を考え、営業担当と一緒に納得感のある提案を形にする。この“翻訳と設計”の役割こそ、プリセールスの本質です。
とはいえ、私自身がキャリアをスタートさせた頃、「CPUはコア数が多いほどいいんでしょ」「RAIDってとりあえず1か5でしょ」と、構成要素ひとつひとつの意味を理解しないまま、構成見積ソフトを操作していた時期がありました。
その結果、コストと性能のバランスが取れていない提案をしてしまい、お客様に指摘を受けたこともあります。
だからこそ、プリセールスとしての技術力を高めたい方には、構成要素を“順序立てて”理解することをおすすめします。本記事はその「導入」となる位置づけです。
サーバー構成の全体像を俯瞰しよう
サーバーを構成する要素は、パッと見では単なる「部品の集合体」です。
しかし、実際にはそれぞれの役割が連携し合い、最終的なシステムの性能や安定性、可用性を支えています。
ここでは、プリセールスの視点から見た構成要素の流れを、以下のように整理します。
- CPU
- メモリ
- RAIDコントローラー
- ストレージ
- ネットワーク
- GPU
- 電源ユニット
- 管理ソフト
- 保守サポート
この流れは、単にハードウェアの構成順というだけでなく、提案における“検討の流れ”や“構成の検証ポイント”にもリンクしています。
CPUが中心となり、周囲のパーツが支える
CPUの性能に見合ったメモリ容量、ストレージI/O、ネットワーク帯域、さらには熱・電源などの設計要件が自然と決まってきます。
これらを正しく理解して構成することで、提案に説得力が生まれます。
構成要素を理解することで、何ができるようになるのか?
サーバーの構成を“なんとなく”ではなく“理由を持って”組めるようになると、以下のような力が身につきます。
1. コストと性能のバランスを判断できる
「必要以上にハイスペックな構成になっていないか?」
「ディスク性能を上げるより、メモリ増設の方が費用対効果が高いのでは?」
こうした“構成最適化”の判断ができるようになります。
2. 営業・お客様に分かりやすく説明できる
営業から「この構成、なんでこうなってるの?」と聞かれたときに、明確に説明できれば信頼を得られます。
また、情シス担当者との技術的な会話もスムーズに。
3. ベンダーごとの仕様の違いを理解しやすくなる
たとえばHPEとDellで同じスペックでも、管理ツールや保守体系、ディスクの分類が微妙に違います。
構成要素を理解していれば、製品選定の比較も的確に行えます。
今後のシリーズ構成について
本シリーズでは、以下の順番で1つずつ構成要素を取り上げていきます。
今後の記事予定
- CPU編:コア数・クロックの基本と用途別の選定
- メモリ編:チャネル構成・ECCの理解
- RAIDコントローラー編:RAIDレベルと選定基準
- ストレージ編:SAS・SATA・NVMeの違いと適材適所
- ネットワーク編:NIC構成・冗長性と性能設計
- GPU編:AI・映像用途への応用と注意点
- 電源ユニット編:冗長構成と容量計算
- 管理ソフト編:iLO・iDRACとリモート管理の要点
- 保守編:保守レベル・対応時間とその説明の仕方
このシリーズを通して、構成要素の理解だけでなく、**「提案で使える実務力」**も養えることを目指しています。
こんな人に読んでほしい
- 若手のプリセールス・インフラエンジニア
- IT営業との橋渡し役を目指す人
- 中小企業の情シス・管理者
- 独学でITインフラを学びたい人
まずは全体像を押さえ、実務で“使える知識”へ
サーバー構成の知識は、単なるスペック理解では終わりません。
実際の提案やヒアリング、課題解決の現場で「なぜその構成が必要なのか?」を説明できるかが、プリセールスとしての真価です。
このシリーズを通じて、あなたの技術的な土台が一歩一歩固まっていくことを目指しています。
次回は、いよいよ「CPU編」です。
コア数やクロック周波数の違いが、なぜ構成選定に直結するのかを実務の観点から深掘りしていきます。