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サーバー提案の場で、「構成は完璧、性能もクリア」と思っていたのに、「あのベンダーは保守がダメだね」と一言で否定された──そんな経験はありませんか?
保守レベルの選定は、提案における“信頼性と安心感”の象徴です。スペックや価格以上に、運用中のトラブル時に「どう対応してくれるのか」をお客様は見ています。
今回は、プリセールスが最低限押さえておくべき保守サービスの種類・違い・説明の仕方について解説します。
なぜ保守が提案において重要なのか?
- 顧客にとって「止まらない仕組み」は構成だけでなくサポート体制も含まれる
- ハードが壊れたとき、誰が・いつ・どうやって直すかが明確でなければ不安が残る
- 「納入後に不満が出る」代表例のひとつが保守内容
保守の基本分類:対応時間・対応方法で見る
項目 | 内容 | 説明 |
---|---|---|
対応時間 | 例:24×7、9×5 | 「365日24時間」or「平日9-17時」など |
対応スピード | 例:4時間以内、翌営業日(NBD) | 障害発生から技術員派遣または部品到着までの目安 |
対応方法 | オンサイト/センドバック/デポ交換など | 故障時の対応手段 |
代表的な保守タイプ(HPE・Dell・Lenovo等共通)
保守種別 | 内容 | 主な用途 |
---|---|---|
オンサイト保守(4時間対応) | 技術員が現地へ駆けつけて対応 | ミッションクリティカルな業務システム |
NBD保守(翌営業日) | 翌営業日にパーツを届ける(または派遣) | 中堅業務・情シス向け |
センドバック保守 | 機器をメーカーへ送付して修理 | コスト重視。開発・検証用など |
デポ交換/先出しセンドバック | 故障連絡後に先に代替機を出荷 | 即時対応性とコストのバランス型 |
電話/リモートサポート | OSや構成についての問い合わせ対応 | 通常はハード保守とセットで提供されることが多い |
対応時間の読み方:よくある誤解に注意
- 「4時間対応」とは、障害の連絡から4時間以内に“対応開始”するという意味(※復旧完了ではない)
- 土日含む「24×7」か、平日対応の「9×5」かは契約内容で明確に分かれる
- 「NBD(Next Business Day)」は平日のみがカウント対象
提案時に必要なヒアリング・判断のポイント
以下のようなヒアリングが効果的
- 止まったら困る業務か?
-
- 重要度が高ければオンサイト4時間対応を検討
- 停止しても翌営業日対応でよいならNBDでも可
- 設置場所は?
-
- 離島・山間部はオンサイト対象外エリアの可能性あり
- 対象外でもパーツ配送による“代替手段”を提案できると◎
- 社内にIT管理者がいるか?
-
- センドバック型保守でも自力で交換できるかどうか
- 保守をアウトソースするか、社内対応できるかの判断基準に
- 何年間保守をつけるか?
-
- サーバーは通常3年・5年保守が主流
- 予算や更新サイクルに合わせて選定
よくあるミスと提案時の落とし穴
- 最低構成で保守を選ばず → 納品後に追加対応コスト発生
- 離島に4時間対応を提案 → 対象外で再見積もり
- 複数メーカー混在で保守窓口がバラバラ → 顧客混乱
- NBD保守なのに“即日対応”と誤解させてしまう
保守に関する誤解は、納入後の「不満」に直結しやすい項目です。
構成だけでなく、運用上の“守り”もセットで設計する意識が重要です。
プリセールスとしての提案力を上げる視点
- 「なぜこの保守なのか?」をコストと可用性のバランスで説明できること
- お客様の業務影響と照らし合わせて判断軸を示すこと
- 保守範囲・時間・連絡先の明確化(ドキュメント化)まで意識できるとベスト
たとえば「このサーバーはActive Directoryを担っているので、障害時は即時対応が必要です。
よってオンサイト4時間対応をご提案しています」と伝えられると、単なる見積担当から一歩抜け出した提案になります。
まとめ:保守設計は“安心感”を届ける提案の一部
構成提案=ハードの話と思われがちですが、本質的には「安心して使えるか」を設計すること。
その中でも保守は、“何かあったとき”のシナリオを事前に描いておく設計力が試されます。
プリセールスとして、保守レベルとコスト、業務影響のバランスを取りながら、納得感のある選定理由を伝えられるようになりましょう。
次回は「ライセンス編」です。
物理と仮想、それぞれに必要なライセンス設計について解説していきます。