第2回:各クラウドの主要サービス比較(仮想マシン・ストレージ編)

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クラウドの利用でまず触れるのが「仮想マシン(VM)」と「ストレージ」です。

オンプレミスでいう物理サーバやローカルディスクに相当し、最も分かりやすくかつ重要な領域です。

本記事では、AWS・Google Cloud・Azureそれぞれの仮想マシン・ストレージサービスを比較し、初学者でも構成しやすいポイントを解説していきます。

仮想マシン(IaaS)の基本比較

各サービスの名称と役割

項目AWSGoogle CloudAzure
サービス名Amazon EC2Compute EngineAzure Virtual Machines
起動単位インスタンスインスタンス仮想マシン
UIでの操作性中級者向け(項目が多い)わかりやすいGUI中心で初心者にもやさしい
起動時間数十秒〜1分数十秒〜1分数十秒〜1分
OSイメージLinux/Windows豊富特にUbuntuに強いWindows Serverに強み

構成時の比較ポイント

項目AWSGoogle CloudAzure
CPUファミリーIntel, AMD, Graviton(Arm)Intel, AMDIntel, AMD
ディスク選択EBS(ボリューム型)をアタッチ永続ディスクをアタッチOSディスク+データディスク構成
課金単位秒単位(最低1分)秒単位秒単位(従量)
リージョン/AZ世界最多少なめだが高速多くのMS拠点に展開可能

オブジェクトストレージの比較

オブジェクトストレージは、VMとは独立して扱える「容量課金型の保存領域」であり、
ログ、画像、バックアップ、アーカイブ等に最適です。

各クラウドの名称と特長

項目AWSGoogle CloudAzure
サービス名Amazon S3Cloud StorageAzure Blob Storage
バケット名称BucketBucketコンテナ(Container)
保存方式オブジェクト単位同左同左
アクセス制御IAM + バケットポリシーIAM + Signed URLIAM + SASトークン

特徴的な機能

項目AWSGCPAzure
ライフサイクル管理◎(細かく設定可)
バージョニングありありあり
静的Webホスティング可能可能可能
暗号化SSE / KMS対応KMS対応Azure Key Vault対応

VM+ストレージ構成パターン(典型例)

単一インスタンス+EBS+S3的構成
  • EC2+EBS:アプリケーションサーバ
  • S3:ログやアップロードファイルの保管
複数VM+オブジェクトストレージ共有
  • Webサーバ群(Auto Scaling)
  • バックエンドは全てBlob/S3/GCSで共有・分離

初学者が体験すべき操作

タスクAWSGCPAzure
仮想マシンの立ち上げEC2(t2.microなど)Compute Engine(e2.microなど)Azure VM(B1sなど)
パブリックIPでSSH接続◯(NSGの許可が必要)
ストレージバケット作成S3Cloud StorageBlob Storage
ファイルアップロードコンソール or CLIgcloud CLIありAzure CLI or Storage Explorer

5. VMとストレージに関する注意点

VM側の注意
  • パブリックIPはデフォルトで割り当てられない場合がある(GCP、Azure)
  • セキュリティグループやFirewallルールの初期設定に注意
ストレージ側の注意
  • バケット名はグローバル一意(S3, GCS)
  • アクセス制御は「IAM」と「バケットポリシー/ACL」の両面がある

おわりに:クラウドの基礎は「VM+ストレージ」

VMとストレージの組み合わせは、どのクラウドを使っていても必ず基礎となる重要な構成です。

また、将来的にはこの構成を基に「オートスケール」や「可用性設計」へと発展していきます。

次回は、この構成の“裏側”にあるネットワーク設計(VPCやFirewall)について見ていきましょう。