第5回:サーバレスって結局なに?

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「サーバレス(Serverless)」という言葉、よく耳にするけど何が“レス”なのか?と感じたことはありませんか?

実際にはサーバが存在しないわけではなく、サーバの管理をユーザーが行わなくてよい」という思想に基づいた設計モデルです。

本記事では、サーバレスの基本概念と、AWS・GCP・Azureにおける代表的なFaaS(Function as a Service)サービスを比較しながら、実務や構築に役立つ視点を解説します。

サーバレスとは?

サーバレスの定義

  • アプリケーションを構築・実行する際に、インフラ(サーバ)を意識せずにコードだけをデプロイできる仕組み。
  • 主にイベント駆動型で利用される(例:APIリクエスト、ファイルアップロード、DB変更など)。

サーバレス = FaaS(Function as a Service)

  • コード単位で実行
  • スケーラブルかつステートレス(処理が終われば消える)
  • 利用した時間だけ課金

サーバレスのメリット・デメリット

項目メリットデメリット
運用負荷サーバ管理が不要デバッグしづらい(ローカルでの再現が困難)
コスト実行した分だけ課金長時間処理には不向き
拡張性自動でスケーリングコールドスタートの遅延
機能性各種トリガーと連携可能ステートフルな処理に弱い

各クラウドのFaaSサービス比較

項目AWSGCPAzure
サービス名AWS LambdaCloud FunctionsAzure Functions
サポート言語Node.js, Python, Java, Go, .NET, RubyなどNode.js, Python, Go, JavaなどNode.js, Python, C#, PowerShellなど
トリガーAPI Gateway, S3, SNS, EventBridgeなどHTTP, Pub/Sub, Cloud StorageなどHTTP, Timer, Blob Storage, Event Gridなど
実行時間上限15分60分60分(Premiumなら無制限)
コールドスタートあり(調整可能)軽めPremium/Always Onで回避可能
ローカル開発支援SAM / Serverless FrameworkなどCloud Functions FrameworkAzure Functions Core Tools

よく使われるユースケース

シナリオ説明使用例
ファイルアップロード時の画像変換Cloud Storage / S3 に画像がアップロードされたら自動でサムネイル作成Cloud Function / Lambda
APIの軽量処理お問い合わせフォームのデータを処理し、DBに登録して通知するLambda + API Gateway
スケジュール処理毎朝9時にレポートを生成してメール送信Cloud Scheduler + Cloud Functions / Azure Timer Trigger
Webhook受信処理他サービスからのPOSTデータを受け取り、処理全クラウドでHTTPトリガー対応

Lambda関数の基本構成(AWS例)

# Pythonでの例(Lambda関数)
def lambda_handler(event, context):
print("Received event: ", event)
return {
'statusCode': 200,
'body': 'Hello from Lambda!'
}
  • event: 入力データ(APIリクエストなど)
  • context: 実行情報(タイムアウト、関数名など)

開発と運用のポイント

項目注意点
ローカルテストコンテナ or エミュレータを活用(SAM, Core Toolsなど)
ステート管理RDS/DynamoDB/Firestoreなどと併用し状態を管理
セキュリティIAMロール(Lambda/GCP SA/Azure ID)を適切に割り当て
バージョニングLambdaにはバージョン・エイリアスあり(本番/検証切替に便利)
CI/CDGitHub ActionsやCloud Buildと連携して自動デプロイ可能

FaaSとPaaSの違い

比較項目FaaS(サーバレス)PaaS(App Serviceなど)
実行単位関数(Function)アプリケーション単位
ステートステートレスステートフルも可
運用自由度自動スケーリング特化設定の自由度あり
起動イベントトリガー常時稼働も可能
主な用途小規模処理、イベント駆動中〜大規模Webアプリなど

おわりに:まずは「1つの関数」からはじめよう

サーバレスは非常に柔軟で魅力的なアーキテクチャですが、最初から“全面移行”する必要はありません。

まずは小さな処理や補助的なロジックから始め、FaaSの可能性を体験するのが最適です。

次回は、各クラウドにおける「課金体系とコスト最適化の考え方」について解説します。