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クラウドの料金は「使った分だけ課金」という従量制が基本ですが、運用スタイルに応じて最適な“購入戦略”を取ることで大きくコストを削減できます。
本記事では、AWS・GCP・Azureに共通する「リソースの料金プラン・購入オプション」の考え方と、それぞれの特徴、活用のポイントを解説します。
クラウドにおけるリソースの購入モデル
モデル | 概要 | 主な用途 |
---|---|---|
オンデマンド(従量課金) | 使った時間だけ課金。契約不要 | 検証・短期利用・可変負荷 |
リザーブドインスタンス(予約) | 1〜3年単位の割引契約 | 長期間稼働する本番環境 |
スポットインスタンス(余剰) | 空いている計算資源を格安提供 | バッチ処理・分散処理・短期用途 |
サステインドユース / コミットメント | 長期間の使用に対する割引(GCP) | VMやDBを月単位で安く使う |
オンデマンドインスタンス(全クラウド共通)
特徴
- 柔軟性最優先:必要な時に即起動、いつでも停止・削除可能
- 価格は定価ベース(割引なし)
代表的な使い方
- テスト・検証環境
- イベント対応の一時的スケールアウト
- PoC環境
3. リザーブドインスタンス/Savings Plan(AWS)とその類似
クラウド | プラン名 | 割引率 | 契約期間 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
AWS | Reserved Instance / Savings Plan | 最大72% | 1年 / 3年 | インスタンスやリージョン固定、もしくは柔軟なSavings Plan選択可 |
Azure | Reserved VM Instances | 最大72% | 1年 / 3年 | VMサイズやリージョン固定。自動更新あり |
GCP | Committed Use Discount(CUD) | 最大70% | 1年 / 3年 | vCPUとRAMをまとめて予約。インスタンス柔軟性高い |
使い方のポイント
できれば利用開始から数ヶ月の実績データを元に「サイズ・時間帯」を見積もるのがベスト
「常時稼働が前提の本番環境」では、これが基本戦略
スポットインスタンス(AWS)/プリエンプティブルVM(GCP)/割引VM(Azure)
クラウド | 名称 | 最大割引率 | 注意点 |
---|---|---|---|
AWS | Spot Instances | 90%以上 | 予告なく終了。24時間継続保証なし |
GCP | Preemptible VM(E2など) | 80%以上 | 最大24時間、強制終了あり |
Azure | Azure Spot VM | 90%以上 | 空きがあれば復旧。耐障害性は自前設計 |
- 分散バッチ処理(CI/CD、画像変換、DBインポートなど)
- 冗長性のあるWebサーバ群(Auto Scaling + スポット)
- 一時的なトレーニング・演算処理(機械学習など)
利用モデル別おすすめ購入戦略(まとめ)
利用シナリオ | おすすめモデル | 理由 |
---|---|---|
短期検証・開発環境 | オンデマンド | 柔軟性・停止可能 |
本番システム(常時稼働) | リザーブド / CUD | 長期割引を活かせる |
非常用リソース(スケールアウト) | スポット | コスト圧縮重視 |
データ処理・AIトレーニング | スポット + オンデマンド | 処理時間に応じて使い分け |
プラン選定時の注意点
項目 | 説明 |
---|---|
1年 or 3年契約 | 長期になるほど割引率は高いが、解約不可・リスクも |
インスタンス柔軟性 | AWS Savings PlanやGCP CUDなら柔軟に対応可 |
組み合わせ最適化 | 本番はリザーブド、バッチはスポットなどハイブリッドに構成 |
運用の自動化 | スポットは自動リカバリやAuto Scalingと組み合わせることが必須 |
リソース購入のベストプラクティス
- 初期はオンデマンドで様子を見る → 使用量が安定したら予約
- タグを活用してリソース別コストを可視化(部門・サービス別など)
- Auto Scaling + スポット構成で「平常時:安価、ピーク時:柔軟」な設計
- Savings Plan or CUDの契約は、Billingチームと連携して計画的に
おわりに:クラウドは「契約戦略」でコストが変わる
クラウドでは、構成を変えずとも“購入モデル”を変えるだけで数十%のコスト削減が可能です。
構築だけでなく、「どう契約するか」も設計の一部として考えることが、運用型クラウドコスト最適化(FinOps)の第一歩です。
次回は、クラウド導入後のトラブル対応や障害復旧の基本戦略(可用性設計・DRなど)について解説します。