サーバーやネットワーク機器を整理して設置するための「ラック」は、ITインフラの要ともいえる存在です。
中でも、世界共通規格である 19インチマウントラック は、サーバー、スイッチ、UPSといった多様な機器を安全かつ効率よく収容するための基本的な装置です。
サンワサプライは、オフィスや小規模サーバールームに適した19インチマウントラックを展開しており、特に「導入しやすさ」と「サイズの豊富さ」が特長です。
本記事では、サンワサプライの標準ラックシリーズについて、構造・ラインナップ・導入事例を交えて解説します。
サンワサプライの19インチラックの基本構造
サンワサプライのラックは、EIA規格準拠のマウントレールを備えており、国内外の主要なサーバーやネットワーク機器をそのまま設置できます。
高さは「U(ユニット)」という単位で表記され、1Uは約44.45mm。用途に応じて12U・24U・42Uといったモデルを選ぶことができます。
また、ほとんどのモデルにはキャスターやアジャスターが標準搭載されており、移動と固定の両立が可能です。
小規模オフィスでは「とりあえず床にサーバーやNASを置く」というケースも多いですが、ラックを導入することで冷却効率や安全性、ケーブル整理のしやすさが格段に向上します。
箇条書きにすると、主な特長は次の通りです。
- EIA規格準拠で幅広い機器に対応
- 12U・24U・42Uなど豊富なサイズ展開
- キャスター付きで設置換えが容易
- 前後扉付きやオープン型を選択可能
サンワサプライ 19インチラックのラインナップ
サンワサプライのラックは「42U」「24U」「12U」を中心に展開されています。
それぞれの特徴を文章で見ていきましょう。
42Uラック(フルサイズ)
最も背の高いモデルが42Uラックです。
フルラックサーバーや大型UPSまで搭載可能で、小規模データセンターや大学・研究室などでの利用に適しています。
前後に扉が付いたキャビネット型ならセキュリティ性も確保できるため、病院や自治体の情報システム室でも採用例があります。
24Uラック(ミドルサイズ)
中小規模オフィスで特に人気があるのが24Uラックです。
サーバー数台、コアスイッチ、UPSなどをひとつにまとめられるちょうど良いサイズ感で、「本格的なラックは必要ないが、整理して管理したい」というニーズに応えます。
キャスター付きモデルが多いため、模様替えやオフィス移転時にも扱いやすいのが利点です。
12Uラック(コンパクトサイズ)
12Uラックはデスク下や壁際に収まる小型タイプです。
NASや小型サーバー、ルーターなどを省スペースに収容できます。
特に営業所や小規模拠点では「床置き状態の機器を整理したい」という要望が多く、12Uラックを導入するだけで見た目と運用効率が大幅に改善します。
他社製ラックとの違い
HPEやAPCのフルラックと比べると、サンワサプライのラックは価格が手頃で、入手も容易です。
Amazonやヨドバシカメラ、楽天市場などの通販サイトからすぐに購入できるため、調達リードタイムも短縮できます。
もちろん耐荷重や拡張性では大手ラック専業メーカーに劣る部分もありますが、「オフィスで必要な範囲をリーズナブルにカバーする」というコンセプトは明確です。
大規模データセンターではなく、あくまで中小規模オフィスや拠点をターゲットにした実用設計が特徴といえるでしょう。
サンワサプライ 19インチラックの活用事例
実際にサンワサプライのラックを導入している現場を想像してみましょう。
- スタートアップ企業
社員20名規模のオフィスで、業務サーバーとNAS、UTM機器を24Uラックに集約。冷却効率とケーブル整理が改善し、トラブル対応もスムーズになった。 - 病院の電子カルテシステム
セキュリティ性を重視し、42Uラックに前後扉付きキャビネットタイプを採用。施錠による物理セキュリティ対策を実現。 - 工場の制御システム
制御用PCやPLCを12Uラックに収納し、工場内の限られたスペースで省スペース運用を実現。
まとめ
サンワサプライの19インチマウントラック標準シリーズは、12U・24U・42Uというサイズ展開で幅広い環境に対応しています。
「大手メーカーのフルラックでは大げさすぎる」「でも最低限の整理とセキュリティは確保したい」――そういったニーズに応える選択肢として、導入コスト・サイズ感・入手性のバランスに優れたラックといえるでしょう。
次回は、さらに省スペースに特化した 「サンワサプライの小型ラック・デスク下ラックシリーズ」 を解説します。