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物理サーバのリモート管理を行う際に必須となるのが、ベースボード管理コントローラ(BMC)と呼ばれる仕組みです。
HPEでは iLO(Integrated Lights-Out)、Dell Technologiesでは iDRAC(Integrated Dell Remote Access Controller)が提供されており、サーバの電源管理、ログ監視、リモート操作などが可能です。
両者はよく比較される機能ですが、どちらも「サーバを画面・キーボードなしで完全遠隔操作する」ための強力な管理ツールです。
本記事では、その共通点と違い、ライセンスの種類、主な機能を整理していきます。
iLO / iDRAC の共通機能
どちらのBMCも以下のようなリモート管理機能を共通で備えています
機能 | 内容 |
---|---|
電源制御(オン/オフ/再起動) | OSに依存せずハードウェア単位で操作可能 |
シリアルコンソール/仮想KVM | BIOSやブート時からの完全遠隔画面操作 |
リモートメディアマウント | ISOファイルをリモートから仮想CD-ROMとして認識させる |
ハードウェア状態の監視 | 温度、電圧、ファン速度、RAID構成などのリアルタイム監視 |
アラート通知/SNMP連携 | 障害発生時にメール・Syslog・SNMPで通知 |
システムイベントログ(SEL) | 過去のハード障害やイベント履歴の記録・取得 |
iLOのライセンス体系
ライセンス種別 | 概要 |
---|---|
iLO Standard(無償) | ハード監視、電源制御、一部設定のみ |
iLO Advanced(有償) | 仮想KVM、仮想メディア、リモートコンソール、LDAP連携、REST APIなど |
Dell iDRAC の特徴
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | Integrated Dell Remote Access Controller(iDRAC) |
現行バージョン | iDRAC9 / iDRAC10(モデルにより異なる) |
対応製品 | PowerEdgeシリーズ(R350, R750など) |
Web UIの操作感 | モダンなUI、監視メニューの粒度が細かい |
BIOS設定の操作 | GUI上からの変更可能な項目が比較的多い |
RESTful API | Redfish、WSMAN対応(Dell独自API含む) |
仮想メディア機能 | ISOマウント、USBリダイレクトあり |
専用ネットワークポート | iDRACポートあり(一部機種では共有も可) |
iDRACのライセンス体系
ライセンス種別 | 概要 |
---|---|
iDRAC Basic(無償) | 電源制御、ハード監視、イベントログなど基本機能 |
iDRAC Express(一部無償) | より詳細な監視やアラート管理が可能 |
iDRAC Enterprise(有償) | 仮想KVM、仮想メディア、LDAP連携、API、USBリモートなど全機能解放 |
4. iLO vs iDRAC 機能比較一覧
機能 | HPE iLO Advanced | Dell iDRAC Enterprise |
---|---|---|
電源制御 | ◯ | ◯ |
ハード監視/ログ | ◯ | ◯ |
仮想KVM | ◯ | ◯ |
仮想メディアマウント | ◯ | ◯ |
BIOS設定GUI操作 | △(項目制限あり) | ◯(項目やや多め) |
REST API / Redfish | ◯ | ◯ |
LDAP / AD連携 | ◯ | ◯ |
専用NICポート | ◯(iLOポート) | ◯(iDRACポート) |
モバイルアプリ管理 | iLO Mobile(あり) | OpenManage Mobile(あり) |
5. できること/できないこと(注意点)
項目 | iLO / iDRACの対応 | 補足 |
---|---|---|
OSが落ちていても操作可能 | ◯ | ハードレベルで制御可 |
ネットワーク障害時の接続性 | △(iLO/iDRAC自体がNWに依存) | 専用NWセグメントを推奨 |
BIOS完全操作(すべて) | △ | UIから一部制限あり。基本はKVM経由で実施 |
ファームウェア更新 | ◯ | iLO/iDRAC経由でアップロード可 |
IPMI CLI管理 | ◯(標準対応) | Redfish/API以外にもIPMI可 |
まとめ:使いこなすと運用効率は大幅アップ
iLOもiDRACも、遠隔からの保守・トラブル対応・構築において非常に有用な機能群を提供しています。
どちらを選んでも基本的な管理業務には十分対応可能ですが、UIの操作感やBIOS管理性、API活用など細かい部分で違いが見られます。
有償ライセンス(Advanced/Enterprise)を導入して初めて“フル機能”が使える点には注意が必要です。
PoCや設計段階では、無償版の機能制限にも目を向けておきましょう。