クラウド時代のIT運用は、もはや従来の監視ツールだけでは成立しません。
オンプレサーバー、仮想化基盤、クラウド、SaaSアプリ、ネットワーク、セキュリティデバイス、ストレージなど、管理すべきコンポーネントは増え続けています。
そして、これらは企業内部だけでは完結せず、複数の拠点やクラウドに分散し、さらには外部委託された運用代行(MSP)によって管理されることもあります。
こうした状況に合わせて登場したのが、SaaS型統合運用管理プラットフォームである OpsRamp(オプスランプ) です。
OpsRampは、単なる監視ツールの進化版ではありません。
IT運用(ITOps)およびAIOps(AI + Operations)の領域をひとつにまとめ、ハイブリッド・マルチクラウド環境を統合管理し、自動化し、ノイズを減らし、運用の品質を安定させること を目的としたプラットフォームです。
1. OpsRampは「監視ツール」ではなく「IT運用基盤」
企業でよく比較されるのは Zabbix や Datadog、SolarWinds などですが、OpsRampはもう少し広い概念で、「IT運用のプラットフォーム」という位置づけです。
たとえば以下のように、監視+自動化+CMDB+ITSM連携+AIOps がワンプラットフォームに統合されています。
OpsRampが担う領域
- サーバー・ネットワーク・ストレージ・仮想基盤・クラウド監視
- 構成情報(CMDB)管理
- インシデント管理
- 自動復旧(Runbook Automation)
- ログ/イベントの集約
- アラートコリレーション(AIOps)
- ダッシュボード・レポート
- MSP向けのマルチテナント管理
つまり、企業の「運用センター」をそのままSaaS化したような存在です。
2. ハイブリッド時代の最大の課題:監視の分断を突破
従来、多くの企業が抱える課題は、
- Zabbix でサーバーを監視
- ネットワークはSNMPツール
- AWSはCloudWatch
- SaaSは別の製品
- ITSMはServiceNow
という“管理点の分断”です。
OpsRampはここに切り込み、オンプレ/仮想基盤/AWS/Azure/GCP/SaaS アプリケーションを一つの画面で統合管理します。
特に MSP(運用代行)の現場では、「顧客ごとに管理ツールがバラバラで現場が回らない」という課題が多く、OpsRampはこの点で非常に強く支持されています。
3. Gateway と SaaS基盤が作る“軽量”な構成
OpsRampが現場で評価されるポイントのひとつが、シンプルなアーキテクチャです。
中心となるのは以下の2つ:
- OpsRamp Gateway(仮想アプライアンス)
- ネットワーク機器、ストレージ、サーバーに対して SNMP/WMI/API で監視
- データをSaaSにアップロード
- 1台でマルチテナント利用も可能(MSP向け)
- OpsRamp SaaS基盤
- 監視設定
- アラート管理
- AIOps(OpsQ)
- CMDB
- レポート
- ITSM連携(ServiceNow / Jira)
サーバーには必要に応じて OpsRamp Agent を入れることも可能ですが、必須ではありません。
この軽量さは、Zabbixのようにサーバー構築やDB運用が不要であり、CloudWatchのようにクラウド単体に依存もしない絶妙なバランスです。
4. AIOpsによるノイズ削減=アラート数を劇的に減らす
従来の監視で現場が苦しむのが、アラートのノイズ地獄です。
- 一台のサーバー障害で10〜30件のアラートが連鎖
- ネットワークの瞬断で100件のメール
- 人間がアラートの相関を判断しないといけない
- 対応漏れ・誤検知の原因に
OpsRampはこの課題に対し、AIOpsの「イベントコリレーション」を提供しています。
つまり、
「多数のアラート → 1件のインシデント」に自動集約
原因ノードを推定し、ノイズを80〜95%削減
これにより、運用チームは本当に重要なアラートだけに集中できます。
5. Runbook Automation による自動復旧
OpsRampのもう一つの強みが自動化です。
- サービス停止 → 自動でサービス再起動
- CPU閾値超過 → プロセスのKill
- ログ容量増加 → ローテーション
- Windows Update の自動実行
- AWSインスタンスの再起動連携
PowerShell / Python / Bash / SSH / WinRM を使った Runbook をOpsRamp上に定義し、
アラートをトリガーに自動復旧が可能になります。
これは、運用代行・MSP・SIerで特に価値が高く、「一次対応の自動化」 → 工数削減・人的ミス削減 に直結します。
6. まとめ:OpsRampは“次世代IT運用の答えのひとつ”
OpsRampは、従来の監視ツールの延長ではなく、ハイブリッドIT全体を統合管理し、自動化し、運用を最適化するためのプラットフォーム です。
- 監視
- CMDB
- ITSM連携
- 自動化
- AIOps
- マルチテナント管理
これらを1つに統合したオールインワンSaaSであり、MSP/SIer/企業内情シスにとって「運用基盤」として機能します。
次回の第2回では、OpsRampのアーキテクチャ(Gateway / Agent / SaaS基盤)の詳細 について解説します。
