OpsRampは「SaaS型の統合IT運用プラットフォーム」として提供されますが、その内部構造は非常にシンプルでありながら、どの企業規模にも対応できる柔軟性を持っています。
プリセールスとして提案する際、このアーキテクチャを正しく理解しておくことは重要で、特に「現場での導入工数が少なく、既存環境を壊さない」という点は強くアピールできます。
本記事では、OpsRampを支える3つの主要コンポーネント
① Gateway
② Agent
③ SaaS基盤
を中心に解説していきます。
1. 全体像:OpsRampは“クラウド+ローカルプローブ”のハイブリッド
OpsRampは基本的に SaaS であり、ユーザーはWebブラウザからログインし、
- 監視設定
- アラート管理
- レポート
- 自動化(Runbook)
- CMDB管理
- AIOps分析
などを一元管理します。
これらの情報を取得するために、ユーザー環境内に配置するのが 「Gateway」 です。
必要に応じてサーバーに Agent をインストールして詳細監視を行うこともできます。
図式化すると以下の形になります:
[監視対象サーバー/ネットワーク/ストレージ]
↓
OpsRamp Gateway(仮想アプライアンス)
↓
OpsRamp SaaS基盤(クラウド)
↓
Web UI / API / Dashboards
このシンプルさが、Zabbixなどのオンプレミス型監視ツールと比べたときの明確な利点です。
2. OpsRamp Gateway:現場で最も重要なコンポーネント
2-1. Gatewayとは何か?
OpsRamp Gatewayは、ユーザー環境内に配置される仮想アプライアンス(OVA/ISO)です。
VMware vSphere上にデプロイする形が一般的です。
役割は大きく2つ:
- 監視データの収集(Collector)
- OpsRamp SaaS とのブリッジ(Secure Tunnel)
Gatewayは以下のプロトコルに対応しています:
- SNMP
- WMI
- WinRM
- SSH
- HTTP/HTTPS
- REST API
- IPMI/RedFish(ハードウェア情報)
- SQLクエリ
- CIM/WS-Man
つまり、サーバー・ネットワーク・ストレージ・仮想基盤の監視を Gateway が一括で行い、SaaS基盤へ暗号化された通信でデータを送ります。
2-2. Gatewayの特徴:構築が圧倒的に楽
Gatewayの評価ポイントは次の通り:
- OVAを展開 → IP設定 → SaaSへの登録だけで完了
- DBなどの構成が不要
- ウイルス対策・OSパッチ管理などの負担が少ない
- Gateway自体のアップデートはSaaS側から自動で提供
プリセールスの提案で、「Zabbixより構築が簡単」や「運用が楽」というポイントは非常に刺さります。
2-3. スケーラビリティ:1台で十分、必要に応じて追加
一般的な中規模企業なら Gateway1台 で十分に運用できます。
しかし、
- 拠点が複数
- DMZとのネットワーク分離
- 数千台規模の監視対象
などでは追加して構成できます。
MSP向けには 多テナント+多Gateway も可能で、顧客ごとに監視環境を分離できます。
3. OpsRamp Agent:より詳細な監視を実現するクライアント
Gatewayは「エージェントレス監視」を担当しますが、さらに詳細な項目を監視したい場合、OpsRamp Agent をサーバーにインストールします。
3-1. Agentが得意な監視項目
- サービス・プロセスのリッチ監視
- Windowsイベントログ
- Linux Syslog
- スクリプト監視
- メモリリークやディスクIOなど詳細パフォーマンス
- パッチ適用(オプション)
- 自動復旧(Runbook Automation)
エージェントは特に Windows Server 監視に強みがあり、「イベントログ → 自動復旧」「プロセス異常 → スクリプト実行」などの高度なオペレーションを実現します。
3-2. エージェントは必須ではない
OpsRampの良い点は、Gatewayだけで基礎監視が完結することです。
- Ping
- CPU / メモリ / ディスク
- SNMP監視(ネットワーク)
- API監視
- 仮想基盤の情報取得
- ストレージ監視(NetApp/HPE/DELL EMC)
つまり、最小構成は「Gateway 1台だけ」で可能。
必要になったタイミングで Agent を段階的に追加できます。
4. OpsRamp SaaS基盤:運用の“頭脳”となる部分
SaaS基盤が OpsRamp の本質的価値を提供します。
主な機能は以下の通り:
すべての監視ポリシー、閾値、ネットワークディスカバリなどをGUIで集中管理。
クラウド・サーバー・ネットワークなどを自動的にCMDB化。
タグ・依存関係・サービスマップなども作成できます。
アラートコリレーション、ノイズ削減、異常検知を実施。
実際は8〜9割のアラートを吸収して1つにまとめる事例もあります。
PowerShell/Bash/Pythonなどを実行し自動回復。
API連携によりAWS/Azureの操作も可能。
ServiceNow、Jiraにチケットを自動生成し、インシデント管理を一元化。
MSPが顧客ごとに完全分離されたテナントを作ることができる。
SaaSであるため古い監視ツールのように
- DBサイズ
- OSのEOL(CentOS, RHEL 等)
- バージョンアップの手間
といった課題から完全に解放されます。
5. アーキテクチャから見えるOpsRampの強み
アーキテクチャを理解すると、OpsRampの本質的な強みが見えてきます。
① 導入が早い → 提案の勝ち筋になりやすい
Zabbixなどと比べると導入スピードが段違いに速く、PoCや小規模導入なら 当日中に稼働 させることも可能。
② 監視の窓口をGatewayにまとめられる
ネットワーク、ストレージ、サーバー、クラウドを一か所に集約できるため、運用が統一される。
③ SaaSであるため、管理コストが低い
インフラ保守が不要になり、中長期のTCOで優秀。
④ セキュリティが考慮された通信
Gateway → SaaSはすべて暗号化され、外部からGatewayへの通信を空ける必要はありません。
これは金融・自治体などで採用される理由のひとつです。
まとめ:Gateway+Agent+SaaSの三位一体がOpsRampの柔軟性を生む
- Gatewayは“ローカルの監視エンジン”
- Agentは“詳細監視と自動化の実行役”
- SaaS基盤は“分析・管理・自動化の中枢”
この3つがシンプルに連携することで、OpsRampは ハイブリッドIT運用に最適なプラットフォーム を実現しています。
次回の 第3回は「Discovery & Onboarding — 自動検出と資産管理」 を解説します。
