ページ内に広告が含まれる場合がございます。
バックアップソリューションの選定は、ITインフラの安全性・運用効率・コストに直結する非常に重要なプロセスです。
世の中には数多くのバックアップソフトが存在し、どれも「安心・高速・簡単」を謳っています。
しかし、現場では「どれが自社にとって最適か?」の判断が求められます。
本記事では、代表的なバックアップ製品の特徴を比較しながら、導入時に押さえるべき選定基準を整理します。
バックアップソフトの主なタイプ分類
種別 | 特徴 | 代表製品例 |
---|---|---|
オンプレ向け総合型 | 仮想・物理・クラウドを一元管理 | Veeam、Arcserve、Acronis |
クラウド特化型 | クラウド/SaaS連携に強い | Druva、MSP360、AvePoint |
SMB向け簡易型 | 小規模構成向け・コスト重視 | Windows Server Backup、EaseUS |
NASベース型 | Synology、QNAP等の独自ソフト | Active Backup(Synology)など |
主要製品の機能比較
製品名 | 仮想環境 | クラウド連携 | 重複排除 | 自動テスト | 日本語対応 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
Veeam | ◎ VMware/Hyper-V対応 | ◎ Azure/AWS/Wasabiなど対応 | ◎ CBT+重複排除 | ◎ SureBackup | ◎ | 中堅〜大企業向け定番。自由度が高い。 |
Acronis | ◎ 多様な環境対応 | ◎ OneDrive, Google含む | ◎ イメージ+ファイル両対応 | △(標準) | ◎ | GUI重視、個人〜SMBに強い |
Arcserve | ◎ UDPエンジン強力 | ◎ DR拠点連携/クラウドDR | ◎ グローバル重複排除 | △ | ◎ | 官公庁や教育機関に強い実績 |
Nakivo | ◎ コスト効率抜群 | △(S3連携中心) | ◎ 軽量アプライアンス型 | △ | ◯ | SMBや中堅市場に人気 |
Commvault | ◎ 大規模向け | ◎ 多クラウド対応 | ◎ 非常に高度 | ◎ | △ | 大企業向け高機能型(SIer案件向き) |
選定時に確認すべきポイント
① 対応環境の範囲
- 物理サーバだけか、仮想環境(VMware/Hyper-V)にも対応しているか?
- クラウド(AWS/Azure/Google Cloud)やSaaS(M365/Google Workspace)の保護も必要か?
特にVM単位/VSS対応/SQL/Exchangeのアプリ整合性がカバーされているか確認しましょう。
② リストア方式の柔軟性
- ファイル単位で復元可能か?
- VMを即時起動(インスタントリカバリ)できるか?
- 異なるハードウェア構成へのリストア(ベアメタルリカバリ)は可能か?
RTO短縮に貢献するかどうかが、災害時の「差」になります。
③ バックアップ方式の自由度
- フル・増分・差分が選べるか?
- CBT(Changed Block Tracking)対応で増分を効率化できるか?
- 重複排除や圧縮でストレージ効率が高いか?
長期保存やクラウド転送が必要なら必須です。
④ 運用とレポート機能
- バックアップ結果を自動レポート化できるか?
- エラー発生時のアラート通知は柔軟か?
- スクリプトやAPIでの運用自動化は可能か?
情報システム部門が複数拠点・複数サーバを管理する場合は要チェック。
⑤ ライセンス形態と費用感
ライセンス形態 | 説明 | 向いているケース |
---|---|---|
サーバー台数課金 | 1台ごとに購入 | 中小規模環境 |
CPUソケット課金 | VMware/Hyper-Vに多い | 仮想化基盤中心の環境 |
ユーザー数課金 | Microsoft 365など | SaaSバックアップ |
サブスクリプション(月/年) | 定額で都度更新 | 初期費用を抑えたい場合 |
「仮想環境=台数無制限」といった制限解除オプションがある製品もあります(Veeamなど)。
導入事例別おすすめ構成
中小企業(20名規模/ファイル+VM2台)
- 製品例:Acronis、Nakivo、Synology Active Backup
- 特徴:簡単操作+低価格+VM対応あり
- 価格感:年額 10〜30万円前後
中堅企業(100名規模/仮想+DB+クラウド併用)
- 製品例:Veeam、Arcserve UDP、Acronis Cyber Protect
- 特徴:高機能+世代管理+アプリ整合性
- 価格感:年額 50〜100万円前後(構成次第)
官公庁/大企業(分散拠点・DR・長期保存)
- 製品例:Arcserve UDP、Commvault
- 特徴:DRサイト連携、BCP対応、FISC要件準拠
- 価格感:カスタム見積り(SIer案件含む)
無償評価版を活用しよう
ほとんどの主要ソフトには、30日間〜60日間のフル機能試用版があります。
評価の際は次のポイントに着目してください
- VM・DB・ファイルの同時バックアップができるか?
- スケジュール自動化/暗号化/圧縮の設定が使いやすいか?
- 復元操作が直感的か?
- レポートやアラート機能がわかりやすいか?
まとめ:バックアップソフトは「導入後の安心感」で選ぶ
単に「有名だから」「価格が安いから」ではなく、
- 自社のインフラ環境
- 復旧要件(RTO/RPO)
- 担当者のスキルレベル
を冷静に分析し、最適な製品を選ぶことが、堅牢なバックアップ運用の第一歩です。