第1回:クラウドの基本と3大クラウドの位置づけ

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現代のITインフラを語るうえで「クラウドコンピューティング」は避けて通れないキーワードです。

オンプレミスからクラウドへのシフトは、大小さまざまな企業で加速しており、インフラエンジニアやプリセールスの立場からも、最低限のクラウドリテラシーは必須となっています。

本連載では、AWS・Google Cloud・Microsoft Azureという「クラウド3兄弟」を比較しながら、構成・料金・管理などの視点で学んでいきます。

クラウドコンピューティングとは?

クラウドコンピューティングとは、インターネットを通じて、コンピュータのリソース(サーバー・ストレージ・ネットワークなど)を必要なときに必要なだけ利用できる仕組みです。

主なサービスモデル

分類名称概要
IaaSInfrastructure as a Service仮想サーバやストレージなどの基盤を提供EC2、Compute Engine、Azure VM
PaaSPlatform as a Serviceアプリ実行環境や開発ツールを提供AWS Elastic Beanstalk、App Engine、
Azure App Service
SaaSSoftware as a Serviceアプリケーション自体を提供Gmail、Office365、Google Drive

なぜクラウドが求められるのか?

オンプレミスの課題
  • 初期コストが大きい(サーバ・ネットワーク・ラックなどの購入)
  • スケールしにくい(性能が足りなくなったら買い直し)
  • 運用負荷が高い(保守・障害対応・監視)
クラウドのメリット
  • 必要な分だけ使える(従量課金)
  • 数分で構築・拡張できる
  • 高可用性設計が容易(リージョン・AZの概念)

三大クラウドベンダーの位置づけと特徴

項目AWSGoogle CloudMicrosoft Azure
開始年2006年2008年2010年
所属企業AmazonGoogleMicrosoft
市場シェア約30%(1位)約10%約25%(2位)
強みサービス数の多さ、成熟度、企業導入実績AI・ML、ネットワーク技術、開発者に人気Microsoft製品との親和性、エンタープライズに強い
UIの特徴少し玄人向け、だが強力シンプルで分かりやすいMS製品と似ていてMSユーザーには親しみやすい

クラウドはどのように選べばいいのか?

ユースケースによる選定視点
  • 既存システムがWindows Server中心 → Azureが最有力
  • AI分析・ビッグデータ処理 → Google Cloudが優位
  • とにかく構成柔軟性と実績重視 → AWSが最有力
学習のしやすさ
  • AWS:日本語資料も多く、資格試験の選択肢も豊富(例:CLF-C02)
  • GCP:Qwiklabsの演習が無料または格安で可能
  • Azure:Microsoft Learnで体系的な学習が可能

初学者がまず触れるべきサービス

各クラウドで「IaaS(仮想マシン)」と「ストレージ」から学ぶのが王道です。

分野AWSGoogle CloudAzure
仮想マシンEC2Compute EngineAzure VM
オブジェクトストレージS3Cloud StorageBlob Storage
管理ツールAWS CLI / Consolegcloud / ConsoleAzure CLI / Portal

おわりに:クラウドの基本理解がITインフラの共通言語に

今やクラウドは単なる「サーバーの置き場」ではなく、業務プロセスそのものを柔軟に変える武器になりつつあります。

今回の内容をベースに、次回は実際のサービス構成(IaaSやストレージ)の比較に踏み込んでいきます。