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「サーバレス(Serverless)」という言葉、よく耳にするけど何が“レス”なのか?と感じたことはありませんか?
実際にはサーバが存在しないわけではなく、「サーバの管理をユーザーが行わなくてよい」という思想に基づいた設計モデルです。
本記事では、サーバレスの基本概念と、AWS・GCP・Azureにおける代表的なFaaS(Function as a Service)サービスを比較しながら、実務や構築に役立つ視点を解説します。
サーバレスとは?
サーバレスの定義
- アプリケーションを構築・実行する際に、インフラ(サーバ)を意識せずにコードだけをデプロイできる仕組み。
- 主にイベント駆動型で利用される(例:APIリクエスト、ファイルアップロード、DB変更など)。
サーバレス = FaaS(Function as a Service)
- コード単位で実行
- スケーラブルかつステートレス(処理が終われば消える)
- 利用した時間だけ課金
サーバレスのメリット・デメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
運用負荷 | サーバ管理が不要 | デバッグしづらい(ローカルでの再現が困難) |
コスト | 実行した分だけ課金 | 長時間処理には不向き |
拡張性 | 自動でスケーリング | コールドスタートの遅延 |
機能性 | 各種トリガーと連携可能 | ステートフルな処理に弱い |
各クラウドのFaaSサービス比較
項目 | AWS | GCP | Azure |
---|---|---|---|
サービス名 | AWS Lambda | Cloud Functions | Azure Functions |
サポート言語 | Node.js, Python, Java, Go, .NET, Rubyなど | Node.js, Python, Go, Javaなど | Node.js, Python, C#, PowerShellなど |
トリガー | API Gateway, S3, SNS, EventBridgeなど | HTTP, Pub/Sub, Cloud Storageなど | HTTP, Timer, Blob Storage, Event Gridなど |
実行時間上限 | 15分 | 60分 | 60分(Premiumなら無制限) |
コールドスタート | あり(調整可能) | 軽め | Premium/Always Onで回避可能 |
ローカル開発支援 | SAM / Serverless Frameworkなど | Cloud Functions Framework | Azure Functions Core Tools |
よく使われるユースケース
シナリオ | 説明 | 使用例 |
---|---|---|
ファイルアップロード時の画像変換 | Cloud Storage / S3 に画像がアップロードされたら自動でサムネイル作成 | Cloud Function / Lambda |
APIの軽量処理 | お問い合わせフォームのデータを処理し、DBに登録して通知する | Lambda + API Gateway |
スケジュール処理 | 毎朝9時にレポートを生成してメール送信 | Cloud Scheduler + Cloud Functions / Azure Timer Trigger |
Webhook受信処理 | 他サービスからのPOSTデータを受け取り、処理 | 全クラウドでHTTPトリガー対応 |
Lambda関数の基本構成(AWS例)
# Pythonでの例(Lambda関数)
def lambda_handler(event, context):
print("Received event: ", event)
return {
'statusCode': 200,
'body': 'Hello from Lambda!'
}
event
: 入力データ(APIリクエストなど)context
: 実行情報(タイムアウト、関数名など)
開発と運用のポイント
項目 | 注意点 |
---|---|
ローカルテスト | コンテナ or エミュレータを活用(SAM, Core Toolsなど) |
ステート管理 | RDS/DynamoDB/Firestoreなどと併用し状態を管理 |
セキュリティ | IAMロール(Lambda/GCP SA/Azure ID)を適切に割り当て |
バージョニング | Lambdaにはバージョン・エイリアスあり(本番/検証切替に便利) |
CI/CD | GitHub ActionsやCloud Buildと連携して自動デプロイ可能 |
FaaSとPaaSの違い
比較項目 | FaaS(サーバレス) | PaaS(App Serviceなど) |
---|---|---|
実行単位 | 関数(Function) | アプリケーション単位 |
ステート | ステートレス | ステートフルも可 |
運用自由度 | 自動スケーリング特化 | 設定の自由度あり |
起動 | イベントトリガー | 常時稼働も可能 |
主な用途 | 小規模処理、イベント駆動 | 中〜大規模Webアプリなど |
おわりに:まずは「1つの関数」からはじめよう
サーバレスは非常に柔軟で魅力的なアーキテクチャですが、最初から“全面移行”する必要はありません。
まずは小さな処理や補助的なロジックから始め、FaaSの可能性を体験するのが最適です。
次回は、各クラウドにおける「課金体系とコスト最適化の考え方」について解説します。