第2回:主要なサーバOSの種類と系統図

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前回は、PreSalesとしてOSの基礎的な役割や、なぜOS選定が重要なのかを解説しました。

今回はさらに一歩踏み込み、「そもそもOSにはどんな種類があるのか?」という根本的な分類と、それぞれのOSがどのような系統から派生しているのかを整理していきます。

OSの分類:大きく分けて2系統

サーバー用途で使われるOSは、大きく次の2つに分類されます。

分類系統主なOS
Unix系Linux系 / BSD系 / 商用UnixRHEL, Ubuntu, Rocky, SUSE, FreeBSD, Solaris など
Windows系Microsoft NT系Windows Server 各バージョン

この分類は、カーネル(OSの中核)のアーキテクチャや設計思想によって分かれています。

Linuxディストリビューションの系統図

Linuxは「カーネル」を元に、多数の**ディストリビューション(配布版)**が存在します。
その中でも商用や法人利用でよく使われるものは、次の3系統に分けられます。

RHEL系(Red Hat Enterprise Linux系列)

OS名特徴
RHEL(Red Hat)法人向けの商用Linux。サポート体制と安定性が高評価
Rocky Linux / AlmaLinuxRHEL互換の無償ディストリ。CentOSの代替
CentOS StreamRHELの先行開発版。安定性よりも開発向き

→ SAP、Oracle、金融系の商用基幹システムに向いています。

Debian系(Ubuntu含む)

OS名特徴
Debian安定性重視のベースOS。パッケージが豊富
Ubuntu(LTS)Canonical社製。使いやすく、GUIやクラウド対応に優れる
Linux Mintなどデスクトップ用途が多いが、Ubuntuベースの派生も多い

→ OSSやWebアプリ、クラウドネイティブ系のインフラに最適です。

SUSE系

OS名特徴
SUSE Linux Enterprise Server(SLES)ヨーロッパ圏で人気。SAP連携に強い
openSUSE無償・コミュニティ版。テストや教育向け

SAP環境など、特定ベンダーが求める環境で使用されます。

BSD系・その他のOS

Linuxと並ぶUnix系として、BSD(Berkeley Software Distribution)系も存在します。

OS名特徴
FreeBSDネットワーク機器やストレージOSに採用例あり(pfSense、TrueNASなど)
NetBSD / OpenBSDセキュリティや移植性に優れるが、法人採用は限定的
Solaris(Oracle)商用Unix。現在は縮小傾向

→ 特殊用途(セキュリティアプライアンス、NAS等)での採用が主流。

Windows Server系の進化

MicrosoftのWindows Serverは、GUIとActive Directoryを中心とした企業ITに最適化されています。

バージョン主な特徴
2012 / R2古いが現場に多い。サポート終了間近
2016Nano Server、Docker対応などの追加
2019長期サポート安定版。現場での採用多
2022最新版。セキュリティ強化とAzure連携が強化

→ Active Directory、ファイルサーバ、RDSなどWindows前提の環境で必須。

OSの系統図(簡易チャート)

          ┌──────────┐
│ UNIX │
└────┬─────┘

┌────────┼────────┐
BSD系 商用UNIX Linuxカーネル
│ │ │
FreeBSD Solaris ┌─┴──────────────┐
RHEL系 Debian系
│ │
Rocky, AlmaLinux Ubuntu, Debian

PreSalesがこの分類を押さえるメリット

  • 顧客の「今の環境は何系か」「何に移行したいか」がすぐ分かる
  • 互換性やサポート可否(例:OracleはRHEL系のみ公式対応)を説明できる
  • セキュリティやパッチ方針の違いを整理して伝えられる

次回予告

次回は、シリーズ第3回「Windows Serverの特徴と提案時のポイント」をお届けします。

  • ADやHyper-Vって何ができるの?
  • ライセンス設計はどう考える?
  • GUIは便利だけどデメリットも?

PreSalesがよく問われるWindows Serverの要点をまとめていきます。