第3回:Windows Serverの特徴と提案時のポイント

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サーバーOSの中でも、Microsoft Windows Serverは企業ITにおける基盤の中心として長年使われてきました。

とくにActive Directory(AD)やファイルサーバ、Remote Desktop Services(RDS)など、「業務インフラに欠かせないサービス」を多数提供しています。

本記事では、Windows Serverの基本機能、ライセンス、提案時の注意点をPreSales視点で整理していきます。

Windows Serverとは?:特徴の全体像

Windows Serverは、クライアントOS(Windows 11など)と同じくGUI操作に対応しつつ、多数ユーザーの同時接続や業務サービスの提供に最適化されたOSです。

主な特徴

特徴内容
GUI操作可能管理ツールがGUIベース。CLIも利用可能(PowerShell)
Active Directory搭載ドメイン管理やシングルサインオン(SSO)に必須
ファイル/プリント共有SMBプロトコルによる高速なファイル共有
Hyper-V搭載OS標準で仮想化機能を提供(無料)
RDS対応リモートデスクトップ環境の構築が可能

Windows環境を前提とした業務システム、ユーザー認証、共有ファイル基盤などに最適です。

エディション別の違いと選定ポイント

Windows Serverには主に次のエディションがあります。

エディション特徴仮想化権CAL要否
Essentials小規模向け(25ユーザー以下)1台のみ不要
Standard一般用途。中小企業向け最大2VM必要
Datacenter仮想化向け。大規模環境用無制限必要

ライセンス設計のポイント

  • Standard / Datacenterは「物理CPUコア単位」でライセンスが必要
  • 1プロセッサ = 最低8コア、1サーバ = 最低16コア分が基本課金単位
  • 利用ユーザー数や端末数に応じて「CAL(Client Access License)」が必要

例:「20人がファイルサーバにアクセスするなら、20CALが別途必要」

PreSalesでよくある提案パターン

ADサーバ用途

  • 複数のPCをドメイン管理したい
  • シングルサインオンを実現したい
    Windows Server Standard + CALを提案

小規模オフィスでの共有サーバ

  • 社員数10~15名程度
  • ファイル共有と印刷だけでOK
    Windows Server Essentials(またはNASで代替も検討)

仮想基盤上でのWindowsゲストOS展開

  • 仮想サーバを複数構築したい(RDS、AD、業務アプリなど)
    Windows Server DatacenterをホストOSとして提案

仮想化とWindows Server:Hyper-Vの活用

Windows ServerにはHyper-V(仮想化機能)が標準搭載されています。
VMwareなどの外部ハイパーバイザーを使わなくても、複数のVMをWindows環境内で構築可能です。

項目内容
Hyper-V搭載標準で利用可能(追加費用なし)
仮想スイッチ仮想ネットワークの構築が可能
ゲストOSWindows / Linuxどちらも稼働可
GUI管理Hyper-VマネージャやPowerShellから操作可能

ただし、高可用性構成(クラスタリングなど)やライブマイグレーションには、Datacenterエディションが推奨されます。

提案時の注意点(PreSalesチェックリスト)

観点チェックすべきこと
ライセンスコア数、CAL数、仮想化権を正確に把握
バージョン選定サポート期限(例:2012 R2は2023年10月で延長サポート終了)
GUI操作GUIが前提の管理者か、CLI対応可能か
役割分離AD・ファイル共有・RDSなどの役割ごとにVMを分ける構成も検討
クラウド連携Azure ADやHybrid Joinなどの連携を考慮する場合は2022以降が◎

まとめ:Windows Serverは“エンタープライズITの屋台骨”

Windows Serverは、オンプレミス環境の信頼性と、クラウドとの親和性を両立するOSです。

ADを中心としたユーザー認証、ファイル共有、仮想化環境などにおいて依然として多くの顧客で採用されています。

PreSalesとしては、業務内容・ユーザー数・将来の仮想化/クラウド構想に応じて、最適なエディションとライセンスを提案できるよう準備しておくことが重要です。