第5回:Ubuntu Serverの活用ポイントと注意点

ページ内に広告が含まれる場合がございます。

Linuxディストリビューションの中でも、Ubuntu Serverはここ数年で急速に法人採用が進んでいるOSの1つです。

OSSとの相性の良さ、クラウドでの普及、学習コストの低さなどが評価され、PoC(概念実証)から本番までをスムーズに担える軽量な選択肢として注目されています。

今回は、PreSales視点でUbuntu Serverの強みと注意点を整理します。

Ubuntuとは?ディストリビューションの位置づけ

Ubuntuは、Debian GNU/Linuxをベースに、Canonical社が開発・提供するLinuxディストリビューションです。

クライアント用(デスクトップ)とサーバー用の両方がありますが、ここではUbuntu Server(LTS版)に焦点を当てます。

Ubuntu Serverの強み

観点内容
💰 無償利用可能LTS版は5年間のサポート付き。Ubuntu Proに加入すれば10年まで延長可
🚀 クラウド親和性AWS、Azure、GCPでの公式テンプレートあり。クラウド立ち上げが早い
🧩 OSSとの連携Nginx、Docker、Kubernetes、PostgreSQLなどの主要OSSが最も使いやすい環境
🧠 学習コストが低い情報・ドキュメントが多く、初心者にも扱いやすい設計
🔧 パッケージ管理が簡単aptコマンドでわかりやすく更新・管理が可能

→ OSS中心の構成やDevOps基盤、Webサービス構築などに強い選択肢です。

代表的なユースケース

Web・アプリケーションサーバ

  • OSS系ミドルウェアと相性がよく、設定手順も豊富
  • LAMP/LEMP(Linux + Apache/Nginx + MySQL/PostgreSQL + PHP)環境に最適

Docker / Kubernetes ホスト

  • Canonical自身がKubernetesディストリ「MicroK8s」を提供
  • コンテナ・クラウドネイティブ開発との親和性が高い

テスト環境 / 教育用サーバ

  • GUI不要の軽量設計、起動・導入が早い
  • CLI操作の学習にも最適で、Linux技術者の育成にも向く

Ubuntu Serverを採用する際の注意点

注意点内容
有償サポートは別途契約Canonical社の**Ubuntu Pro(商用)**が必要。公共・金融用途ではPro契約推奨
AppArmorとSELinuxの違いUbuntuはAppArmor採用。SELinuxと比較してセキュリティポリシーが簡易的
GUIが標準では非搭載基本はCLI運用前提。Linux操作に不慣れな顧客は注意が必要
ベンダー非対応製品ありOracle DBやSAPなどはRHEL前提。Ubuntuは未サポートな場合がある

→ 提案時には、「顧客の運用スキル」「商用サポートの有無」「業務アプリの対応状況」を確認しましょう。

他OSとの比較(PreSales資料にも使える簡易表)

項目Ubuntu ServerRHELWindows Server
初期費用無償(Proは有償)有償(年額)有償(CAL等あり)
OSS親和性
セキュリティ制御AppArmorSELinuxWindows Defender
クラウド対応◎(公式テンプレ多数)
商用DB対応△(非公式)◎(Oracle/SAP公式)◎(MS SQLなど)
GUI操作△(非標準)△(選択式)◎(標準)

PreSalesでの提案トーク例

  • 「PoCから本番まで同じ環境でスピード感を持って展開できます」
  • 「OSSをベースにコストを抑えたい企業に最適です」
  • 「クラウドとの親和性が高く、テンプレート起動もスムーズです」
  • 「GUIが不要でCLI運用に慣れていれば、最も軽量な選択肢です」

まとめ:Ubuntuは“攻めの構成”に強いOS

Ubuntu Serverは、コスト・柔軟性・モダンなOSS環境との親和性を武器に、新しいシステム構築やスモールスタート型の構成に向いています。

PreSalesとしては、「OSS中心」「クラウド前提」「早期立ち上げ重視」といった条件が揃う場面で、Ubuntuを積極的に提案できると強みになります。