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OSは「何となく」で選ぶのではなく、業務要件・アプリケーション・運用体制に応じて最適なものを選定すべき重要な要素です。
PreSalesの立場としては、「なぜこのOSなのか」をロジカルに説明・提案できることが求められます。
本記事では、主要なサーバOSを「業務用途別」に分類し、それぞれの提案ポイントを解説します。
用途別:最適なOS早見表
用途 | 推奨OS | 理由と補足 |
---|---|---|
Active Directory / 認証基盤 | Windows Server | AD、Group Policy、SSO対応 |
ファイルサーバ / プリンタ共有 | Windows Server or NAS | SMBでの共有に強み。クライアント互換性も高い |
Webサーバ / CMS | Ubuntu or RHEL系 | OSSとの相性がよく、Web業務に最適 |
仮想化ホスト | Windows Server Datacenter (Hyper-V) or RHEL + KVM | 仮想化権あり。KVMなら無償でスモールスタートも可 |
基幹DB(Oracle, SAP) | RHEL | サポート対象。金融・公共で実績多数 |
Webアプリ + DB(内製) | Ubuntu | OSS利用が中心なら軽量かつ迅速に構築可能 |
教育・研修 / テスト用途 | Ubuntu or Rocky Linux | 無償で扱いやすく、CLI学習にも向く |
高セキュリティ環境 | RHEL(SELinux) or Windows Server(GPO) | 標準機能でのアクセス制御が強力 |
リモートデスクトップ環境(RDS) | Windows Server + RDS CAL | RDSは専用ライセンスが必要 |
ケース別:提案時のトーク例
例1:中小企業の社内インフラ構築(AD + ファイルサーバ)
「業務端末を統合管理したい、ファイル共有したいということであれば、Windows ServerでADとSMBを構成するのがシンプルで管理もしやすいです」
→ Windows Server Standard + CAL提案が基本。10~50名規模に最適。
例2:Webアプリを内製で公開したい企業
「WordPressやNode.jsなどのOSSを活用されるなら、Ubuntuが軽量で学習資料も豊富。Dockerとも相性が良く、PoCから本番移行もしやすいです」
→ Ubuntu LTSをベースにDocker/K8s構成を提案。CI/CDもセットで。
例3:基幹業務でOracle DBを運用している企業
「OracleはRHEL系のOS上での動作が公式サポートされているため、商用サブスクリプション付きのRHEL導入をおすすめします」
→ RHEL + Oracleライセンスに基づいた設計支援が求められる。
PreSalesが押さえるべき判断軸
判断軸 | 観点 |
---|---|
アプリケーションの対応OS | ベンダー公式のサポート対象か(例:Oracle = RHEL系) |
運用者のスキル | GUIが前提か、CLIでも問題ないか |
コスト制約 | 初期費用と継続費用(サブスクリプション、CALなど) |
拡張性 / 仮想化の有無 | 仮想化権、スケーラビリティ、クラスタ構成 |
セキュリティ要件 | SELinux / AppArmor / GPO / FIPS準拠など |
OS選定フロー(簡易チャート)
① 業務用途は?
├─ 認証・ファイル → Windows Server
├─ 基幹DB → RHEL
├─ Web/OSS中心 → Ubuntu or Rocky
└─ 仮想化基盤 → Datacenter or KVM
② 運用体制は?
├─ GUI希望 → Windows / RHEL GUI可
└─ CLI可 → Ubuntu / Rocky / RHEL最小構成
③ 予算とサポート?
├─ 有償OK → RHEL / Windows Server
└─ 低コスト志向 → Ubuntu / Rocky
まとめ:OS提案の鍵は「用途・人・コスト」の見極め
サーバーOSは、単に技術的な土台ではなく、業務・人材・コスト・将来構想を織り込んだ選定が必要な項目です。
PreSalesとしては、顧客の状況を聞き取りながら「なぜこのOSが最適か」を論理的に説明できるようにしておくと、信頼と説得力のある提案につながります。