第6回:ディストリビューション別、向いている業務と提案の切り口

ページ内に広告が含まれる場合がございます。

OSは「何となく」で選ぶのではなく、業務要件・アプリケーション・運用体制に応じて最適なものを選定すべき重要な要素です。

PreSalesの立場としては、「なぜこのOSなのか」をロジカルに説明・提案できることが求められます。

本記事では、主要なサーバOSを「業務用途別」に分類し、それぞれの提案ポイントを解説します。

用途別:最適なOS早見表

用途推奨OS理由と補足
Active Directory / 認証基盤Windows ServerAD、Group Policy、SSO対応
ファイルサーバ / プリンタ共有Windows Server or NASSMBでの共有に強み。クライアント互換性も高い
Webサーバ / CMSUbuntu or RHEL系OSSとの相性がよく、Web業務に最適
仮想化ホストWindows Server Datacenter (Hyper-V) or RHEL + KVM仮想化権あり。KVMなら無償でスモールスタートも可
基幹DB(Oracle, SAP)RHELサポート対象。金融・公共で実績多数
Webアプリ + DB(内製)UbuntuOSS利用が中心なら軽量かつ迅速に構築可能
教育・研修 / テスト用途Ubuntu or Rocky Linux無償で扱いやすく、CLI学習にも向く
高セキュリティ環境RHEL(SELinux) or Windows Server(GPO)標準機能でのアクセス制御が強力
リモートデスクトップ環境(RDS)Windows Server + RDS CALRDSは専用ライセンスが必要

ケース別:提案時のトーク例

例1:中小企業の社内インフラ構築(AD + ファイルサーバ)

「業務端末を統合管理したい、ファイル共有したいということであれば、Windows ServerでADとSMBを構成するのがシンプルで管理もしやすいです」

→ Windows Server Standard + CAL提案が基本。10~50名規模に最適。


例2:Webアプリを内製で公開したい企業

「WordPressやNode.jsなどのOSSを活用されるなら、Ubuntuが軽量で学習資料も豊富。Dockerとも相性が良く、PoCから本番移行もしやすいです」

→ Ubuntu LTSをベースにDocker/K8s構成を提案。CI/CDもセットで。


例3:基幹業務でOracle DBを運用している企業

「OracleはRHEL系のOS上での動作が公式サポートされているため、商用サブスクリプション付きのRHEL導入をおすすめします」

→ RHEL + Oracleライセンスに基づいた設計支援が求められる。

PreSalesが押さえるべき判断軸

判断軸観点
アプリケーションの対応OSベンダー公式のサポート対象か(例:Oracle = RHEL系)
運用者のスキルGUIが前提か、CLIでも問題ないか
コスト制約初期費用と継続費用(サブスクリプション、CALなど)
拡張性 / 仮想化の有無仮想化権、スケーラビリティ、クラスタ構成
セキュリティ要件SELinux / AppArmor / GPO / FIPS準拠など

OS選定フロー(簡易チャート)

① 業務用途は?
├─ 認証・ファイル → Windows Server
├─ 基幹DB → RHEL
├─ Web/OSS中心 → Ubuntu or Rocky
└─ 仮想化基盤 → Datacenter or KVM

② 運用体制は?
├─ GUI希望 → Windows / RHEL GUI可
└─ CLI可 → Ubuntu / Rocky / RHEL最小構成

③ 予算とサポート?
├─ 有償OK → RHEL / Windows Server
└─ 低コスト志向 → Ubuntu / Rocky

まとめ:OS提案の鍵は「用途・人・コスト」の見極め

サーバーOSは、単に技術的な土台ではなく、業務・人材・コスト・将来構想を織り込んだ選定が必要な項目です。

PreSalesとしては、顧客の状況を聞き取りながら「なぜこのOSが最適か」を論理的に説明できるようにしておくと、信頼と説得力のある提案につながります。