第7回:クラウド・仮想化基盤とOS選定の関係

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近年のシステム構成では、オンプレミスでもクラウドでも**「物理サーバにOSをインストールする」よりも、「仮想マシンにOSを展開する」**ケースが主流です。

そのため、PreSalesがOSを提案する際には、クラウド・仮想化基盤との相性やライセンス体系もセットで考慮する必要があります。

本記事では、仮想化やクラウド環境におけるOSの選び方と注意点を整理します。

仮想化環境とOS選定の関係性

仮想環境では、ホストOS(またはハイパーバイザー)とゲストOSの適合性が重要になります。

主な仮想化基盤とOSサポート状況

仮想化基盤ゲストOS例特記事項
VMware vSphereWindows, RHEL, Ubuntu, Rocky などopen-vm-toolsでLinuxも安定運用可
Microsoft Hyper-VWindows, Ubuntu, RHEL などWindows Server標準機能で提供
KVM(Linux)RHEL, Rocky, Ubuntu などオープンソースベース。自由度高
Proxmox VEDebianベース。UbuntuやRockyも動作可軽量・無償。教育機関や検証用途に人気

→ 基盤によって、推奨ディストリビューションやサポート範囲が異なるため注意。

クラウドにおけるOSテンプレートの利用

クラウド(IaaS)では、OS付きの仮想マシンテンプレート(AMI, イメージ)が用意されているため、選定の自由度が高い一方で、利用料金やサポート有無に差が出ます

クラウド別の代表的なOS

クラウド提供OS例備考
AWSUbuntu, RHEL, Windows Server, Amazon LinuxRHELやWindowsは時間課金にライセンス費が含まれる(従量課金)
AzureWindows Server, Ubuntu, RHEL, SUSE などMicrosoft製品との親和性◎。Hybrid Benefitも考慮
GCPDebian, Ubuntu, RHEL, Windows Server料金はAWSに類似。割引制度が豊富(CUDなど)

ライセンスと仮想化数:PreSalesが確認すべきこと

特にWindows ServerとRHELでは、仮想化に関わるライセンス条件が重要です。

Windows Server の仮想化権

エディション仮想OS数補足
Standard最大2VM(1ライセンスあたり)1物理16コア単位で再購入すれば追加可
Datacenter無制限仮想化集約時はコスト効率◎

→ 「仮想台数が多い」 or 「将来増やす可能性がある」なら、Datacenter一択になることも。

RHELの仮想化用サブスクリプション

契約形態内容対象例
RHEL for Virtual Datacentersホスト1台に無制限VMvSphereの1ノードに複数VM
RHEL Server (単体)1台の物理/仮想OSごとに契約KVMや1VMだけの場合など

→ 「VMごとに個別契約」か「ホスト単位で無制限契約」かを使い分ける。

OS選定とBYOL(Bring Your Own License)

一部のクラウドでは、既存のライセンスを持ち込んで使う(BYOL)方式にも対応しています。

OSBYOL可否備考
Windows Server可(Azure Hybrid Benefit)ライセンスを持っていれば大幅コスト削減も可
RHEL可(特定パートナー経由)RHELサブスク契約者がEC2やAzureで再利用可能
Ubuntu無償のためBYOL概念不要Ubuntu Proは別途契約で長期サポート化可

PreSalesが確認すべきヒアリング項目

ヒアリング観点チェックポイント
仮想化基盤の種類VMware / Hyper-V / KVM / クラウドなど
ゲストOSの台数仮想化ライセンスの選定基準に影響
使用OSの制限ミドルウェアやベンダーの対応OS要件
クラウド移行の有無BYOL可否、クラウドネイティブ性など
セキュリティ要件OSテンプレートのハードニング有無など

まとめ:仮想化とクラウドの視点でOS選定を補強しよう

クラウド・仮想化時代のOS選定は、単に「そのOSが使えるか」だけでなく、コスト、ライセンスの最適化、運用設計にまで踏み込んだ提案が必要です。

PreSalesとしては、仮想化ライセンスの仕組みクラウドでのOS運用コストの見通しまで含めて提案できることが、他社との差別化に直結します。