第9回:ライフサイクルとサポート体制の比較

ページ内に広告が含まれる場合がございます。

インフラ提案において、OSの「今動くか」だけではなく、「いつまで使えるか」「どこまでサポートされるか」という視点は極めて重要です。

PreSalesとしては、サポート切れによるリスクを未然に防ぎ、計画的な更改・移行提案に繋げることが求められます。

本記事では、代表的なサーバOSのライフサイクル(サポート期間)と支援体制を比較・解説します。

OS別:標準サポートと延長サポートの比較

OS標準サポート期間延長・有償サポート合計サポート年数
Windows Server5年(Mainstream)5年(Extended Support)最大10年+ESU可
RHEL5年(Full Support)最大5年(Extended Life Phase)最大10年+拡張可
Ubuntu LTS5年(無償)Ubuntu Proで+5年(ESM)最大10年

※上記はLTSまたはEnterprise向けリリースに限定

サポート期間の詳細(バージョン例)

OS / バージョンリリース年サポート終了備考
Windows Server 2012 R220132023(ESU:2026)延長サポート終了済。ESUは有償
Windows Server 201920182029現在の主力バージョン
RHEL 720142024(Extended:2026)EL付きで延命可
RHEL 820192029(+拡張可)多くの基幹系で採用中
Ubuntu 20.04 LTS20202025(Proで2030)デフォルトでは5年。延長にはUbuntu Proが必要
Ubuntu 22.04 LTS20222027(Proで2032)最新のLTS版

PreSalesが確認すべきライフサイクル関連ポイント

項目説明
使用中OSのバージョン現在の顧客環境がEOL間近でないか確認
延長サポートの有無EUS, ESU, ESMなど有償オプションの有無
次期アップグレード方針次に何を使うか?マイグレーション難易度は?
LTS / 安定版の有無安定性重視ならLTSまたはフルサポート版推奨
サポート切れのリスクセキュリティ更新停止、ベンダー未対応などの影響説明が必要

サポート終了時の影響と提案トーク例

影響例

  • セキュリティパッチが配信されず、脆弱性が放置される
  • アプリケーションやミドルウェアの新バージョンが対応しない
  • OSバージョン依存のクラウドテンプレートが使用不可になる

提案トーク例

「現在お使いのOSは来年で公式サポートが終了します。以降は脆弱性対応や障害時の保証が受けられなくなるため、計画的に移行をご検討されることをおすすめします。」

→ 「今すぐ入れ替え」ではなく、「1年以内の更改提案」が現実的で受け入れられやすいです。

サポート延長契約・管理製品の活用

製品名機能対応OS
Red Hat Satelliteパッチ配信、構成管理、EUS制御RHEL系
Ubuntu Pro + LandscapeLTS延長、サポート管理、構成可視化Ubuntu
Windows ESU(拡張セキュリティ更新)サポート切れOSへの有償パッチ提供Windows Server

→ 「予算的にすぐリプレースできない」場合でも、延命+段階的移行を提案できると好印象です。

まとめ:OSのライフサイクルは“提案の起点”

OSのサポート切れは、インフラ更新提案の好機であると同時に、放置すると重大なセキュリティリスクにもつながります。

PreSalesとしては、以下の視点でOSのライフサイクルを評価し、顧客に「なぜ今提案するのか」を納得させる根拠として活用することが求められます。

  • バージョン/EOLスケジュールの把握
  • 延長サポート可否とコスト感
  • マイグレーションの実現性と必要期間