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用途・規模別に見る最適なラック選びとは?
サーバーラックの導入においては、サイズや形状だけでなく「メーカー選定」も重要なポイントです。
ラックはサーバー・ネットワーク機器とともに長期間使われるため、信頼性や拡張性、対応オプションの豊富さが導入後の運用性を大きく左右します。
本記事では、法人用途で実績のある主要3社「HPE」「APC by Schneider Electric」「サンワサプライ」の特徴と製品傾向を比較し、どのような用途・現場に向いているのかを解説します。
HPE(Hewlett Packard Enterprise):サーバー連携に強い高信頼ラック
特徴
HPEはサーバー/ストレージメーカーとしての豊富な実績を持ち、その周辺機器として自社設計のラックを展開しています。特にProLiantサーバーやMSAストレージとの互換性が高く、ラック全体を統一管理しやすいのが利点です。
主な製品シリーズ
- HPE G2 Enterprise Series Rack
→ データセンター向けの高耐荷重・高拡張ラック(最大1360kg、最大47U) - HPE G2 Advanced / Standard Series Rack
→ 中小規模オフィス向けの汎用ラック。耐荷重・エアフロー設計ともに優れ、SMB構成にも最適。
特長ポイント
- 工具不要でレールやブランキングパネルを装着可能
- サーバー・UPSとの冷却ゾーン統一設計
- Insightソフトウェアとの連携による温度監視・配線ガイドなど
向いている用途
- HPE ProLiantサーバーやMSAストレージと併用する構成
- データセンター、または信頼性重視のエンタープライズ案件
APC(by Schneider Electric):電源・冷却設計まで含めたインフラ統合型
特徴
APCはUPS(無停電電源装置)で有名ですが、実はサーバーラック製品でも高いシェアを誇ります。特に**「NetShelter」シリーズはDell TechnologiesにもOEM供給**されており、ラック・電源・冷却を一体で構成できるのが強みです。
主な製品シリーズ
- NetShelter SXシリーズ
→ 高密度サーバーに対応する高放熱・高耐荷重ラック。42U〜48Uまで幅広く、エンタープライズ向け。 - NetShelter SVシリーズ
→ 中小規模環境やSIer向けの標準モデル。価格と品質のバランスに優れる。
特長ポイント
- 配線ガイドとケーブルマネジメント機構が優秀
- リアドア換気ユニットやラックファンの組み合わせが豊富
- PDUやUPSとのマッチングが前提に設計されているため、ラック全体でエネルギー効率を最適化
向いている用途
- Dellサーバー構成でのラック選定(OEMモデルあり)
- APC UPSとの組み合わせによる電源管理の統一
- 熱密度が高い仮想基盤、VDI環境など
サンワサプライ:SOHO・中小企業向けに最適なシンプルラック
特徴
大規模システムこそ扱いませんが、コスト重視かつ短納期・柔軟性を求める現場ではサンワサプライのラックが高く評価されます。特に「サーバーラック=大がかり」という概念に囚われない、小規模からの導入に対応できる製品ラインナップが魅力です。
主な製品シリーズ
- CP-SVNシリーズ(19インチ・耐荷重500kg)
→ 小規模サーバー/UPS向けのキャスター付きラック。ドア・パネルは取り外し可能。 - eラック シリーズ
→ 壁掛け型、卓上型なども揃い、SOHO環境でも導入しやすい。
特長ポイント
- 国内在庫が多く、短納期で導入可能
- 組み立て式やスリムタイプなど、物理スペースに柔軟に対応
- オプションパーツ(棚板、扉、キャスター、放熱ファンなど)も充実
向いている用途
- NAS・UPS・小型スイッチをまとめるSOHOオフィス環境
- 仮設・イベント会場、または一時的なシステム構築
- 小規模のオンプレサーバー+UPSセット導入
まとめ:ラックメーカーは「用途と拡張性」で選ぶ
3社を比較すると、それぞれ得意とする領域がはっきり分かれます。
メーカー | 得意分野 | 想定環境 |
---|---|---|
HPE | サーバー・ストレージとの統合性、信頼性重視 | エンタープライズ、常設サーバールーム |
APC | 電源・冷却とのインフラ統合、配線設計 | 仮想基盤、Dell構成、熱密度の高い環境 |
サンワサプライ | 小規模・省スペース・コスト重視 | SOHO、仮設、中小企業 |
ラック選びは見た目以上にシビアな「インフラ設計」です。導入後の使い勝手や拡張性、冷却性まで見越して、現場の実情に即した選定を行いましょう。