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冷却効率を高めて、サーバー障害を未然に防ぐには?
サーバーやストレージの安定稼働において「冷却」は非常に重要です。
多くの障害や性能低下は、じつはラック内の熱のこもりやエアフロー不全が原因です。
本記事では、サーバーラック内の放熱設計において見落とされがちなポイントや、効果的なオプションパーツを活用してエアフローを最適化する方法を紹介します。
熱対策が必要な理由
サーバー機器の多くは前面吸気・背面排気という風の流れを前提に設計されています。
このエアフローを阻害すると、以下のような問題が発生します:
- サーバーが高温アラートを発し、自動シャットダウン
- 冷却ファンが常時フル回転し、消費電力・騒音が増加
- 特定の機器だけが異常加熱し、寿命が短くなる
そのため、ラック内では「空気の流れを阻害しない構成」と「無駄な熱の再循環を防ぐ工夫」が必要不可欠となります。
よくあるエアフロートラブルの例
現場でよく見られる失敗事例には、以下のようなものがあります。
- 未使用Uが空いたままで、ホットエアが前面へ逆流
- 配線が背面で渋滞し、排熱風を塞ぐ
- ラック前面に遮蔽物(棚、カーテン、ダンボールなど)があり吸気が妨げられる
- 吸気と排気がラック内で循環している
こうした問題は、一見小さなことのように見えて、実はファン回転数・電源容量・機器寿命に大きな影響を与えます。
熱対策に有効なオプションパーツ
ラック内のエアフローを最適化するために活用できる、代表的なオプションを以下に紹介します。
1. ブランキングパネル(ブランクパネル)
- 未使用Uの隙間を塞ぐパネル
- 材質はスチール製、プラスチック製などがあり、1U~4Uサイズで展開
- メリット:ホットエアの逆流防止、見た目の整理、美観向上
- ポイント:U数に余裕がある場合でも全て塞ぐのが理想
2. ケーブルマネジメントバー
- 背面の配線スペースを整えるための支持金具やリング
- ケーブルの束を固定することで、排熱経路の確保につながる
- メリット:トラブル時の保守性向上・ラック背面の熱だまり解消
3. ラックファンユニット(天井/背面/底部設置)
- ファンを内蔵したユニットで、空気の強制排出・吸気を実現
- 上部に設置して上昇熱を吸い出すパターンが一般的
- 温度センサー付きタイプでは、一定温度で自動回転させることも可能
- 高密度実装時には前後両方に設置することも検討
4. エアフローバッフル/ガイドキット
- サーバー側の吸排気に合わせて空気の流路を導くダクト
- 熱密度の高い1Uサーバー群やGPUサーバーで特に有効
- 冷気が届かない/排気が戻ってくるといった偏りを是正
冷却設計のチェックリスト
ラック内のエアフローを整えるために、導入時や機器入替時に以下のポイントを確認しておくと良いでしょう。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
前面・背面のメッシュ扉になっているか? | 開口率60〜80%以上が理想 |
未使用Uにブランキングパネルを取り付けているか? | 隙間からの逆流を防止 |
ケーブルが排気口を塞いでいないか? | ラック背面は常に通風を意識 |
温度センサーやラックファンが設置されているか? | 熱がこもりやすい場所には必須 |
ラック上部に空気の逃げ道があるか? | 特にフル装填時は重要 |
実例:放熱対策を行った結果…
とある中堅企業では、1Uサーバー×8台、UPS×1台、スイッチ×2台を24Uラックに収納していました。
当初は「温度上昇によりサーバーが不定期にシャットダウン」する問題に悩まされていました。
そこで以下の対策を実施:
- 空いていた10U分にブランキングパネルを設置
- 背面のケーブルを整理し、ケーブルマネジメントバーで再配置
- ラック上部に2連ファンユニットを追加
その結果、サーバー筐体の温度は平均7℃低下し、ファンの回転数も抑えられたことで騒音と消費電力が大幅に改善されました。
■ まとめ:冷却対策は「保険」ではなく「設計の一部」
エアフロー対策や熱設計は、後付けで対応しようとすると手間もコストも大きくなります。
ラック設計の初期段階から「風の通り道をどう設計するか」という視点を持つことが、長期的な運用の安定につながります。