【第6回】ユニファイドストレージとは?

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これまでの記事で、ストレージの接続方式として「NAS(ファイルアクセス)」と「SAN(ブロックアクセス)」の違いを学びました。

ところが実務の現場では、「ファイル共有にも使いたいが、仮想化のデータストアとしても使いたい」というような、両方の用途が混在するケースが多く見られます。

そこで登場するのが、ユニファイドストレージ(Unified Storage)です。

本記事では、その仕組みと特徴、設計・導入時の注意点を解説します。

ユニファイドストレージとは?

ユニファイドストレージとは、1つのストレージ筐体でNASとSANの両方のプロトコルを提供できる製品のことです。

特徴内容
対応プロトコルSMB/NFS(NAS) + iSCSI/FC(SAN)
利用形態ファイル共有とブロックデバイスの両立
代表製品NetApp FASシリーズ、Dell Unity XT、HPE Alletra 5000/6000 など

このように、1台で多用途に対応できるため、運用負荷の軽減や機器集約によるコスト削減が期待されます。

従来型との違い

項目従来型ストレージユニファイドストレージ
構成方式NAS用とSAN用で別構成1台でNAS+SAN両対応
ファイル/ブロックの切り分け製品単位で分離同一筐体で共存(論理分割)
管理インターフェースそれぞれ別一元的なGUI/API
拡張性・柔軟性限定的複数用途へ柔軟に展開可能

主な製品例と構成イメージ

Dell Unity XT

  • 本格的なユニファイド設計(ブロック+ファイル)
  • VMware連携に強く、スナップショット/レプリケーションも豊富
  • GUIでLUN・共有フォルダの両方を管理

NetApp FASシリーズ

  • ONTAP OSベースで、SMB/NFS/iSCSI/FCすべてを単一OSで提供
  • ファイル共有と仮想化基盤を同時サポート
  • 柔軟なQoS制御とスナップショットが強み

メリットと注意点

メリット

項目内容
機器集約NASとSANを1台でまかなえる
管理の一元化GUI・APIで統合管理が可能
柔軟なリソース配分容量や帯域を動的に配分
将来の拡張性用途追加が容易

注意点

項目内容
パフォーマンス競合同一筐体でファイルとブロックを共有するとI/Oが競合する可能性あり
セキュリティとACL設計NASとSANでアクセス制御方式が異なるため、ポリシーの設計に注意
製品によって実装が異なる“ユニファイド”の定義・性能・制限がベンダーにより差がある

実務での設計パターン例

パターン①:小規模拠点の集約ストレージ

  • ファイルサーバ(SMB)+仮想化データストア(iSCSI)
  • 1筐体で完結する構成 → Unity XTやAlletraが有効

パターン②:部門単位の分散配置

  • 開発環境(NFS)+バックアップターゲット(iSCSI)
  • アクセス制御と帯域制御を明確にすることが肝

ファイルとブロックを使い分ける視点

用途推奨プロトコル
仮想化・DB・メールサーバiSCSI / FC(ブロック)
ファイル共有・ホームディレクトリSMB / NFS(ファイル)

ユニファイドストレージならこれらを論理的に分割して提供可能で、運用を統一しつつ最適化できます。

まとめ:ユニファイド化=万能ではなく「整理された統合」

ユニファイドストレージは、複数用途の混在に対応できる柔軟性と、機器や管理コストの削減という大きなメリットを持ちます。

しかし、すべての環境で最適解というわけではなく、ワークロードの分離設計・I/O特性の把握・セキュリティポリシーの整理が前提になります。

「とりあえず全部ユニファイドに統合すればいい」という発想ではなく、あくまで整理された形での統合を目指すことが肝要です。