ページ内に広告が含まれる場合がございます。
エンタープライズ用途のSSD選定において、RI(Read Intensive)、MU(Mixed Use)、WI(Write Intensive)という区分を目にすることが多いでしょう。
この記事では、それぞれの意味と用途、性能や寿命の違いをわかりやすく解説し、最後に「最近WIが少ない理由」にも触れていきます。
RI(Read Intensive)とは?
RI(Read Intensive)は、読み取り処理が多い環境に最適ですが、書き込み体制の低いSSDになります。
特徴
- 読み取り処理(Read)が多い環境に最適
- 書き込み耐性(DWPD:Drive Writes Per Day)は低め(通常0.3~1回/日)
- コストパフォーマンスが高く、比較的安価
主な用途
- 仮想マシンのブート領域
- OSディスク
- Webサーバーやファイルサーバーなど、読み込み中心の業務
2. MU(Mixed Use)とは?
MI(Mixed Use)は、読み取りと書き込みのバランスが良い中間のSSDになります。
特徴
- 読み取りと書き込みがバランスよく発生する環境向け
- 書き込み耐性はRIより高く、DWPDは1~3回/日
- 汎用的なSSDとして扱いやすく、用途を選ばない
主な用途
- 仮想化基盤(vSphere/Hyper-V/KVMなど)
- データベースの一部(インデックス領域やログなど)
- 検索エンジンやOLTP処理
WI(Write Intensive)とは?
WI(Write Intensive)は、書き込みを中心としたSSDです。
特徴
- 大量の書き込みが行われる環境向け
- 書き込み耐性が非常に高く、DWPDは3~10回/日以上
- 高性能で高価格。現在は選択肢が限られる傾向にある
主な用途
- ログ収集システム(SIEMなど)
- データベースのトランザクションログ領域
- ハイパフォーマンスなキャッシュ用途
なぜ最近WIが少なくなったのか?
かつてはWIモデルのSSDも多くラインナップされていましたが、近年では次のような背景により市場ではRIとMUが主流になっています。
要因 | 内容 |
---|---|
NAND技術の進化 | MUモデルでも耐久性が向上し、従来のWI領域をカバーできるようになった |
コストバランスの最適化 | WIは高価で採用が限定的。MUで「十分」なケースが増加 |
ストレージアーキテクチャの変化 | 書き込み負荷の分散、キャッシュ利用の進化により、極端なWI用途が減少 |
実際、HPEやDellなどの主要サーバベンダーでもWI対応SSDのラインナップは少なくなっており、MUで代替する提案が増えているのが現状です。
SSDタイプ別比較表(RI・MU・WI)
RI・MU・WIのSSDタイプの比較表を作成しました。
項目 | RI(Read Intensive) | MU(Mixed Use) | WI(Write Intensive) |
---|---|---|---|
想定用途 | 読み取り重視 | 読み書き半々 | 書き込み重視 |
DWPD | 0.3~1 | 1~3 | 3~10以上 |
主な使用先 | OS、読み取り中心の仮想環境 | 仮想基盤全般、DB中間層 | ログ、キャッシュ、高頻度書き込み |
コスト | ◎ 安価 | ○ 中程度 | △ 高価 |
現行製品数 | 多い | 非常に多い | 減少傾向 |
まとめ:SSD選定は「用途ベース」で考えるべき
SSDを選定する際に重要なのは、ワークロードに合った書き込み耐性を備えているかどうかです。
無理に高耐久のWIを選ぶより、MUを適切に運用するほうがコスト効率が良いこともあります。
現在では「RI or MU」を基本とし、本当に必要な場合のみWIを検討するという姿勢が一般的になっています。